元の木阿弥 back to square one 2005 8 30
今、イラクでは、新憲法草案をめぐって、
連邦制導入に反対するイスラム教スンニ派と、
賛成派のシーア派やクルド人で、論争が続いています。
そこで、思い出すのが、ある本のことです。
その本は、2001年12月31日に出版されましたが、このようなことが書かれていました。
「イラク人は、長く続く困窮生活に、うんざりしているが、
それでも、サダム・フセインに対し、文句も言わないし、非難もしない。
なぜならば、強引な指導者が倒れたら、
イラクは内戦状態になると、誰でも知っているからだ。」
不思議なことに、
今は、こうした「強引な指導者」の役割を、アメリカ軍がやっています。
おそらく、こうした地域では、独裁でしか治まらないのかもしれません。
だから、アメリカ軍が撤退するには、
サダム・フセインに代わる独裁者を立てる必要があるかもしれません。
最近のイラクの迷走ぶりを見ていると、そう思えてくるのです。
アメリカ軍は、つらいと思います。
この地域については、サダム・フセインが、地獄の蓋(ふた)の役割をしていたのです。
奇特なことに、
今は、アメリカ軍が、こうした地獄の蓋の役割をやっています。
でも、地獄の蓋の役割は、つらいでしょう。
そんなことをやっていると、地獄の底から、
いろいろなものが湧き上がってきて、つらいと思います。
「元の木阿弥」
一旦よくなったものが、再び、もとのつまらないさまにかえること。
苦心や努力も水泡に帰して、もとの状態に戻ってしまうこと(広辞苑)。